映画美貌録

映画はミューズで出来ている。

『少女暴行事件 赤い靴』

少女暴行事件 赤い靴

 U-NEXTで上垣保朗監督の映画『少女暴行事件 赤い靴』(1983年)を観た。      

 高校生の片桐雅美(井上麻衣)、通称マミは両親が離婚して、母の葉子に引き取られ東京に住んでいるが、週末は父(野上正義)のいる茨城の古河へ遊びに行っている。しかし、地元ではリーダー格だったマミが、週末だけしか顔を見せられないため、その地位はメグミ(小泉ゆか)にとって替わられるようになる…。

 実際に起こった事件を素にしていて公開後には被害者遺族からクレームがあったとか。

 将来の進路が迫る中、満たされない日々を送るやさぐれJKを井上麻衣が好演。田舎の連れもリアリティがあった。田園風景をポツンと歩く井上麻衣の姿が印象的だ。

 ゲームセンターの明かりでマミの運命を表しラストカットの冷淡さも素晴らしい。

 ロマンポルノに収まらない青春映画に昇華させた上垣監督の演出は見事だった。