阿部定をテーマにした大島渚の映画「愛のコリーダ」と田中登の日活ロマンポルノ「実録阿部定」では「実録」の方が抜群に面白かった。
「実録」は脚本のいどあきおの才能による所が大きい。「コリーダ」は修正されまくった公開版と修正が緩やかな「愛のコリーダ2000」を観たが、話題の割にはドラマが平板だった。
他にも大島渚は新選組と同性愛を扱った「御法度」やチンパンジーと人間の愛を描いた「マックス、モン・アムール」を撮った。
男と女、男と男、人間と動物。
大島渚作品は話題先行の面が否めない。
話は脱線するが、ロマンポルノは70年代で終わるべきだった。80年代に根岸吉太郎、池田敏春、相米慎二らとの契約を切った時点で終わっていた。スタートからして組合出身の会社幹部は「ポルノ路線」を嫌っていた上に「ポルノ」で稼いだ金を大作映画「戦争と人間」に注ぎ込み最後は放漫経営で会社を倒産させた。
「ロマンポルノ」は思いつきで始めて思いつきで終わった。